住まいは、私たちの安全と健康を守る大切な基盤であり、心を癒し、安らぎをもたらす場所です。家族や地域とのつながりを育み、自分を表現したり成長したりする場でもあり、経済的・社会的な安定を支える存在でもあります。


ですが、日本の住宅満足度の平均は60%程度と言われています。たとえ注文住宅であっても、100%満足している人は少なく、多くの方が収納不足や生活動線の不便さといった不満を抱えることがあるそうです。その背景には、住まいに関する知識が不足していたり、相談時に専門家に決定を委ねてしまうケースが多いことがあると考えられます。また、ライフステージの変化を十分に想定できていなかったり、間取りや素材、駅に近い立地などの条件だけで判断してしまうことも一因かもしれません。
住まいについての情報は、本やインターネット、知人から得ることができます。しかし、実際に暮らしてみると「なんだか居心地が悪い」と感じる場合があります。その多くは、大切なポイントを見落としていることに起因するのです。


大切なポイントとは何でしょうか? それは、「自分がどのように生きたいのか」という人生の目的や設計から住まいを考えているかどうかです。人の意識には、顕在意識(表面で意識している部分)が約5%、潜在意識(無意識の領域)が約95%存在すると言われています。住まいの計画をこの顕在意識だけで進めてしまうと、後々になって潜在意識の部分が顔を出し、不満となって現れてしまうことがあるのです。
だからこそ、本当にどんな人生を送りたいのか、どのような場所でどのように暮らしたいのかをじっくりと考え、深く理解することが重要です。これによって、住まいに対する満足度は大きく向上します。


まず考えたいのは、あなたやご家族にとって理想の住まいとはどのようなものなのかということです。理想を思い描かない限り、それを実現することは難しいでしょう。設計図が明確であればあるほど、住まいはその理想に近い形で完成していきます。そして、それを実現するためには、事例や体験談から学び、生活に寄り添った提案をしてくれる信頼できる専門家と相談することが大切です。
自分の人生を他人任せにしてはいけないように、自分の住まいも他人任せにしてはいけません。後悔しない住まいづくりには、自分自身で決定することが不可欠です。自分で選んだ道であれば、万が一のトラブルがあっても「自分で決めたことだから」と納得し、前向きに解決策を見つけることができます。


とはいえ、日常の忙しさの中で、一人でじっくりと考えるのは難しいものです。自分の考えを安心して話せる相手がいて、適切なアドバイスやフィードバックを受けながら整理していくことで、本当に大切なものが見えてくるはずです。
私自身もコーチングを受けることで、「これからどう生きたいのか」が明確になりました。それに伴い、当時していた仕事を辞め、自分にとって最も大切なことを中心に据えた生き方にシフトすることができました。結果として、今は充実した日々を送っています。
住まいづくりは、人生づくりと同じです。どんな人生を歩みたいのかを明らかにすることで、住まいづくりはもっと心地よく、理想的なものになります。快適な住まいで、理想の人生を送りたいと願う方は、ぜひ住まいのコーチングを体験してみてください。



自宅の写真提供:Ikuya Sasaki